小規模飲食店における期首・期末商品棚卸高の仕訳方法を解説
さて、商品の原価は単価×数量で計算します。
例えば100gあたり200円で仕入れた食肉が1,移動平均法による評価方法をわかりやすく解説 000gあれば、その商品原価は2,000円になります。このとき、1年間を通じて200円という単価が変わらないとすればよいのですが、あるときは190円、あるときは210円といったように変わるほうが一般的だと思います。
よって、12月31日時点で余っている各食材・ドリンクの単価をいくらと見做せばよいのかが問題となってきます。 移動平均法による評価方法をわかりやすく解説
例えば、何らかの食材仕入れとして次のような増減の経過があったとします。
日付 | 増減理由 | 仕入または使用量 | 仕入の単価 | 残量 |
---|---|---|---|---|
12/28 | (営業終了時点) | 0g | ||
12/29 | 仕入 | 3,000g | 200円 | 3,000g |
12/29 | 料理に使用 | 2,400g | 600g | |
12/30 | 仕入 | 3,000g | 210円 | 3600g |
12/30 | 最終営業で使用 | 2,600g | 1,000g |
例えば仕入の都度価格が異なり、またその頻度も多い場合に、期間中の仕入の平均を基準とする「移動平均法」を採用すると計算自体が非常に大変です。
また、一番古い食材から使用していく「先入先出法」では、食材の廃棄ロスを減らすための現場の運用としては望ましいものの、料理に使ったのは過去のいつ仕入れた分であるかを特定する必要があるため、経理上の在庫評価という点ではこのやり方も現実的ではありません。
よって、一番最近の仕入単価を在庫の単価と見做す「最終仕入原価法」を用いるのが一般的です。例題でいうと、最後の仕入の単価は210円で、1,000g余っていますので、在庫金額は21,000円であるというのが最終仕入原価法による在庫金額になります。
商品棚卸数量の算出例
例えば、2,000円で仕入れた700ml入りウイスキーがひと瓶あって、それが開いている場合のケースです。厳密に言えば、何ml残っているか量って、半分の350ml残っていれば1,000円分残っているということになりますが、一度量って、それを瓶に戻しというのは、作業も大変ですし、日本酒などお酒の種類によっては、空気に触れて売り物にならなくなってしまいます。
よって、目視による概算で計上するのが現実的です。例えば、栓が開いているがほぼ減っていない場合には、90%残っていると見做して、以降1/3減っていれば残量60%、2/3減っていれば残量30%というように在庫金額を計算するといった具合です。
この数量の概算方法については、所得税の棚卸資産の評価方法の届出の中でどのように行なうか記載する欄はありませんが、一度基準を作ったら一貫して継続的に運用することが必要です。
商品棚卸高の決算整理仕訳と確定申告時の記入方法
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
---|---|---|---|
商品 (流動資産) | (在庫評価金額 合計額) | 期末商品棚卸高 (売上原価) | (在庫評価金額 合計額) |
② 開業初年度の確定申告では、基本的に「期首商品(製品棚卸高)」欄は0円。2年目以降は、前年の確定申告で記入した「期末商品(製品)棚卸高」記載額を記入
③ 「仕入金額(製品製造原価)」欄には、対象期間の仕入の総額を記入
④ 「小計」欄には、②と③の合計額を記入
⑤ 「期末商品(製品)棚卸高」欄には、当年の実績金額を記入
⑥ 「差引原価」欄には、④から⑤を引いた金額を記入
経営改善を目的とした商品棚卸解説とまとめ
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